親の価値観はあなたの価値観でない


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僕たちの行動の基準は、それぞれが正しいと思う信念、価値観によって決まってきます。アンガーマネジメントの用語ではそれを「コアビリーフ」といいます。「こうあるべきだ」という「~べき」と心の中で思っていることと言ってもいいでしょう。

そのコアビリーフが作られるのは、家庭の中です。僕たちは真っさらな状態から自分の価値観を作り上げていきますが、最も強い影響を与えるのが親です。親は子どものためを想い、苦労から守るため「こうやったほうがいい」と示します。知らず知らずのうちに自分の「べき」を植えこんでいるのです。

でも、その「べき」が 後に子どもを苦しめてしまうことがよくあります。

たとえば、僕の場合、両親からいい大学に入り、安定した企業に勤めることが人生の選択だと言われつづけてきました。僕は、その価値観に従わなければと思いつつ、自分の人生は自分で決めたいという気持ちも強かったので、非常に悩みました。そして最終的に僕は独立、起業するという道を選択しました。

その決断を後押ししたのは海外で出会った人たちの言葉でした。
「なんでそんなことを悩んでいるんだ? 自分の人生は自分で決めるものだよ」

日本人なら、親の期待に応えるべきという感覚を理解してくれる人も少なからずいると思います。でも外国人の友人たちは一人の例外もなく、自分の人生は自分で決めるものだと言ったのです。子どもがいる親の立場である人にも「あなたの人生じゃないか」と言われました。

無意識のうちに親から承継した価値観で苦しむ内容は人それぞれです。

たとえば、「結婚したら子どもを持つのが当たり前」という親や世間の価値観を刷り込まれた場合、子どもを持たないという選択に罪悪感を持ち続けることになったりします。「男は男らしく」「女は女らしく」というコアビリーフさえも家庭の中で作られ、それによって苦しんでいる人はとても多くいます。

しかし、はっきりいってしまうと、親が生きてきた経験は子の世代であまり役に立たないことがほとんどです。あまりにも時代が変化してしまっているからです。

僕が20数年前、大企業に入社していたとしたら親はとても喜んだと思います。しかし、今では、どれほどの大企業でも、倒産したり、買収されたりすることが頻繁に起きています。大企業に入社すれば定年まで何の心配ないはずが、そううまくはいかない現実。「大企業に就職するべき」という価値観は今や役に立たなくなっているのです。

結局、自分の人生は自分で決めていくしかないのです。親の価値観を言い訳にして従っていても親はあなたの人生を保証できません。自分の人生を生きていない、そんなだれかの価値観の奴隷のような人生がよいのでしょうか。

自分の人生を生きることは、自分で責任を取ること。苦しいことにも直面しますが、そこから目をそむけてはいけない。それが本当の自由な人生を生きることだと思います。

【安藤俊介の主な著作】