本を出版しても成功はしない


今日は「本を書くこと」について考えてみます。

僕は本が好きです。年間に200冊程度は読みますし、マンガを入れれば300冊くらいは読んでいるかなと思います。零細ですが、出版社の役員も務めてたりもします。

新著『怒りに負ける人、怒りを生かす人』(朝日新聞出版)を含め、これまで8冊の本を書いてきました。

2008年に処女作となる『アンガー・マネジメント』(大和出版)を出したのですが、これでもうアンガーマネジメントの講演依頼が殺到して、食べていけるくらいにはなると思っていました。まあ、当然のことなのですが、実際本を出しても講演やセミナーの依頼が殺到することはありません。

それから本は出せば自動的に売れると思っていましたが、まあ、そんなに簡単に売れるわけじゃないですよね。この時、本は出すだけではダメなんだなというごくごく当たり前のことに気づきました。

自分で事業をしている人や士業をしている人の中には「本を出したい」と思っている人は多いでしょう。本を書くことで得られる社会的な評価を否定するわけではありませんが、出版をある種の「ゴール」と考える人が闇雲によくわからない出版社から出して、結果的に自分の持っている価値を落としてしまっているケースも少なくありません。

それからとにかく出したいからと中途半端な形で出版し、売れず、その実績が仇となり、その後出版社から敬遠される著者になることだってあります。

本を出してみて思うのは、少し前によく言われた「自著は名刺代わり」になんてならないということです。今や、多少のお金を出せばだれもが出版できる時代なりました。だからこそ、目的を持って書かないと却ってマイナスになります。何のためにこの本を書くのか、そこをしっかり煮詰める必要があります。

正直、本づくりというのは大変な作業だし、本を売るということも難しい。8冊書いた本のうち、増刷になったのは4冊。出版関係の方々からは、十分よい成績だと言われるのですが、正直自分ではもっと読まれてもいいのでは思っていたりします。

多くの人に読まれるには平易なものがいいのかなと思うと必ずしもそうとは限らず、ここ数年でベストセラーになったものの中には、僕に言わせれば内容が難解なものがあったりします。

せっかく作るのであれば、売れることは大事です。それは著者にとっても、出版社にとっても、ビジネスでやるわけですから、売れなければ物理的に損がでます。

本を書くこと、その責任は小さくありません。本という形で社会に対して出すことは、当然著者として内容に責任が生じるのです。

実は僕の初期の本の内容も今から書き直したいと思う箇所があるのですが、一度出版してしまうとなかなか簡単には書き直せません。マーフィの法則ではないのですが、書き直したい部分にかぎって、後から取材対象になったりするんですよ(汗)。

せっかく本を出せたとしても、後悔するのではもったいないです。とにかく出版できればいいではなく、何のために、いつ、どこから、どのような形で出すのか決めて、万全な形で世に出せるようにしましょう。

あっ、そうそう。出版コンサルタント、プロデューサーと言われる人たちと付き合う時は慎重に。出版社や編集者によっては、そういう人たちがからむのを良しとしないところもありますからね。

■あなたは怒りを生かせていますか?それとも怒りに負けているでしょうか?