徳島DF馬渡選手のケースで考えるアンガーマネジメント


先週ニュースとなった徳島DF馬渡選手のボールボーイへの乱暴行為ですが、怒りは連鎖する、しかもそれは様々な形となってする。そして怒りの連鎖は何ら建設的な結果を生み出さないということをまざまざと見ることになりました。

事件は時系列に並べると、おおまかには下記のようになります。

馬渡選手がボールボーイへ乱暴行為をする
(怒り:馬渡選手→ボールボーイ)

徳島サポーターがボールボーイへ水をかける
(怒り:徳島サポーター→ボールボーイ)

チームに抗議電話殺到
(怒り:市民→チーム)

馬渡選手、サポーターともに処分

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本件は誰がいけないのかと言えば、それはもう最初に怒りをぶつけた馬渡選手ですが、その後にも怒りが連鎖していっているのがとても残念な点です。

怒りの感情は矛先を固定できないという性質を持っています。特定の誰か、出来事に感じた怒りは必ずしも、その誰か、出来事に向かうわけではありません。全然別の誰か、出来事、場所で感じた怒りを目の前の誰かにぶつけることも容易にできます。それが八つ当たりというものです。

馬渡選手、徳島サポーター、市民それぞれに八つ当たりが見えます。八つ当たりをしても何にもなりません。何にもならないどころか、マイナスな結果を生みます。

自分がするあらゆる行為は経験として学習され、時に強化されていきます。八つ当たりを普段からしている人は、その行動が学習され強化され、癖となります。癖となれば、普段から八つ当たりをするのが当たり前になります。そうなればあらゆる場面で健康的に考え、行動することが本当に難しくなります。

馬渡選手だけのことについて見れば、アスリートにとってもアンガーマネジメントが必須のスキルであることがわかる一例です。試合中は気が立っており、平常時よりも怒りの感情をもちやすい状態になっています。だからこそ、そのことによって反則をしたり、プレーに集中できなくなることがないよう、先進的なプロアスリート、チームはアンガーマネジメントをメンタルトレーニングに取り入れています。

例えば、アメリカンフットボールのNFLでは、ルーキー選手にはアンガーマネジメントの受講を義務付けたりしています。それは今回の馬渡選手のような事態を防ぐためです。

馬渡選手にとっては退場したことでプロとしての仕事をまっとうできなかったわけですから、チームに対しても非常に大きな迷惑をかけるだけでなく、本人に対する評価も大きく毀損してしまいます。

アンガーマネジメントは怒らないことが目的ではありませんが、怒りの感情と上手に付き合えるようになることで、試合中にメンタルを安定させ、怒りの感情に振り回されることなく、最高のパフォーマンスを発揮するためのトレーニングです。